リンパ浮腫外来について
「リンパ浮腫」は、リンパ節を取り除く手術や放射線治療を受けたあとに起こる症状の一つです。腕や足の腫れによって日常生活が制限されることもあり、多くの方がこの悩みを抱えています。症状をうまくコントロールして悪化を防ぐことは生活の質を保つ上でとても大切です。
当外来では、専門のセラピストが一人ひとりの症状に合わせたケアを提案します。このページの情報をご活用いただき、ぜひ一度「リンパ浮腫外来」へご相談ください。私たちと一緒に、より良い向き合い方を考えていきましょう。

| 診察日・時間 | 水曜・金曜 9時〜12時 |
|---|---|
| 料金 | 相談・指導:1000円(税抜)、20分毎 2000円(税抜) |
リンパ浮腫外来受診の流れ
1
当院におかかりの患者さん:主治医にリンパ浮腫外来受診の相談をする
他院通院中の患者さん:主治医へ相談し当院の形成外科外来へ紹介してもらう
2
必要に応じて検査を行う
3
リンパドレナージセラピストが初回受診日を決定します
4
予約日にリンパ浮腫外来を受診する
リンパ浮腫外来の案内図(がんセンター2階)

リンパ浮腫について
リンパ浮腫とは、リンパ液の流れが悪くなり、細胞のすきま(細胞間隙)にタンパク質や水分が溜まった状態のことをいいます。手術や放射線治療などによって、リンパ液の流れが障害され、リンパ浮腫が起こりやすい状態になります。リンパ浮腫は、すべての患者さんに現れるというわけではありません。また、リンパ浮腫には個人差があり、手術後すぐにみられるものもありますが、何年も経過してから症状がでる場合もあります。早い段階でリンパ浮腫を見つけて対応することが大切です。
リンパ液の流れ

症状について
はじめは自覚症状があまりなく、気づかないこともあります。手、脚を見て、触って、左右を比べて観察する習慣を付けましょう。
観察ポイント
下腹部・陰部・脚の付け根の症状
- 靴が履きにくい
- 重だるさ
- 皮膚を押すと跡が残る
- 疲れやすさ
- 皮膚のしわや血管が見えにくい
- 皮膚の張り感、硬くなる
- 皮膚が乾燥しやすい
腕の内側の症状
- 握りにくさ
- 腕の上げにくさ
- 重だるさ
- 皮膚を押すと跡が残る
- 疲れやすさ
- 皮膚のしわや血管が見えにくい
- 皮膚の張り感、硬くなる
- 皮膚が乾燥しやすい
治療方法について
複合的理学療法
リンパ浮腫の症状に合わせて、スキンケア・リンパドレナージ・圧迫療法・圧迫しながらの運動を組み合わせた治療方法です。

リンパ浮腫のケアについて
スキンケア
浮腫のある皮膚は傷つきやすく、乾燥や感染を起こしやすくなっています。そのため、日頃からのスキンケアが大切です。
皮膚の清潔を保つ
- 石けんはよく泡立てて、こすらずに優しく丁寧に洗います
- 水虫などの皮膚の病気は専門医で治療をしてもらいましょう
皮膚の潤いを保つ
乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し感染を起こしやすくなるので、保湿クリームで常に潤いのある状態にしましょう。
保湿クリームの選び方
ノンアルコール、香りの少ない低刺激のもの、弱酸性がオススメです。
保湿クリームの塗り方
クリームを手に取って下から上へ円を描くように塗ります。まんべんなく塗ると同時に、リンパ液の流れを促すことができます。また、入浴後や寝る前に塗ると効果的です。弾性着衣の劣化を防ぐため、装着前の使用は避けましょう。
皮膚を傷つけない
虫よけ対策
- 虫よけスプレーを使って虫に刺されないようにしましょう
- 虫に刺された時は、掻かずに薬を塗ります
- 傷になったら、早めに専門医を受診する
ペットの動物とうまく付き合いましょう
- 手足の噛み傷や引っ掻き傷に注意する
- 手袋、靴下などで、肌の露出を避ける
爪の手入れ
- 深爪にならないように切る
- 巻き爪は皮膚科で見てもらいましょう

ムダ毛の処理
- カミソリの使用は控える
- 電気シェーバーを使用しましょう
日常生活の注意点
共通の注意点
衣類
締め付けない靴下や下着を選ぶ
入浴
熱いお風呂、長時間の入浴やサウナは避けましょう
日焼け予防
日差しを避け、肌を保護する
低周波治療器、鍼灸
低周波治療、針、灸、強すぎる指圧は避ける
体重コントロール
体重が増えると脂肪も増え、リンパ管が押されるためリンパ液の流れが悪くなります。定期的に体重測定をして、適度な体重を維持しましょう
脚にリンパ浮腫がある場合
靴
ヒールのある靴を避け、足に合った履きやすいものを選ぶマジックテープの付いた調節しやすいものが便利です
睡眠
クッションや枕を使用して、脚を10cm程度高くして寝ましょう
休憩(疲労を避けましょう)
- 長時間の同じ姿勢は避ける
- 休憩時は足を上げる
手にリンパ浮腫がある場合
家事、ガーデニング
- 炊事によるけが、やけどに注意しましょう
- ゴム手袋を着用しましょう
買い物、荷物運び
重たい荷物は浮腫のある方で持たない
睡眠
クッションや枕を使用して、手を10cm程度高くして寝ましょう
補足
スポーツや旅行など、日常生活で不明な点はリンパ浮腫外来にご相談ください。
蜂窩織炎
重要な合併症に、蜂窩織炎やリンパ管炎などの炎症があります。リンパ浮腫の手は、皮膚のバリア機能やリンパ節の機能が弱くなり感染を起こしやすくなります。
症状
- 赤く小さなポツポツができる
- いつもとは違うだるさがある
- リンパ浮腫のある腕の一部または全体が赤く熱を持つ。中には、痛みを伴う場合があります
- 38℃以上の高熱が出る

対処方法
- ビニール袋に氷を入れたものや、保冷剤をタオルで覆ったものを皮膚に直接あたらないように冷やしましょう
- 湿布薬や冷却シートなどは、皮膚を傷つけるため直接貼らないでください
(注意)すぐに受診し、担当の医師に相談しましょう。ドレナージや圧迫療法は中止し、安静にしましょう。
リンパドレナージ
全身のリンパ液は、リンパ節を通って身体の深いところにある太いリンパ管に集まります。リンパドレナージは、たまったリンパ液を正常に働いているリンパ節へ誘導する方法です。
自分で行う時のポイント
- 皮膚をのばすようにゆっくり動かします
- 手のひら全体を皮膚に密着させて行います
圧迫療法
リンパ液は、ドレナージだけだと重力によって元に戻ってしまいます。リンパ浮腫のある脚を外側から持続的に圧迫することで、リンパ液がたまるのを防ぐ効果があります。弾性包帯や弾性ストッキングなどの弾性着衣を用います。
着衣の洗濯で注意する事
- 伸びないように陰干ししましょう。
- 汚れや汗、皮脂が繊維に入り込むと、伸縮性が劣化しやすいため、週1回は洗いましょう。
圧迫下の運動
弾性包帯や弾性着衣を付けて運動をすると、筋肉の伸び縮みがリンパ管にも作用し、リンパ液の流れがよりよくなります。圧迫しながらの日常生活が一つの運動になります。そして、膝の曲げ伸ばしや足首を動かす運動を取り入れてみましょう。
こんなときは医師の診察が必要です!
熱があり、浮腫のある部分の皮膚が赤い・熱っぽい、湿疹が出ている
- 感染による炎症が起こっている可能性があります。
リンパ浮腫は、早くに見つけて気長に治療を行うことが大切です。
やる気がでない、体調が悪いと感じるときはリンパ浮腫のケアを休んでもかまいません。休みたいこと、休んでいることは後ろめたいことではありません。また、不安や気になることで頭がいっぱいになり、ケアができなくなることもあります。
つらいときや自分で解決できないときにはリンパ浮腫外来にご相談ください。