11.消化器外科

研修指導責任者:若月俊郎

(1)一般目標(GIO)

外科診療における診断と治療に必要な基礎知識と技術、問題解決方法を習得し、医療人として必要な人格、態度を育み、基本的な診療能力を身につける。

(2)行動目標(SBOs)

1)診断

(1)一般的な全身所見(栄養不足、脱水、黄疸など)ができる。

(2)全身所見の中でも緊急病態(呼吸不全、ショック、低血糖、昏睡など)が判断できる。

(3)消化器症状、腹部所見、肛門視診から消化器疾患、病態を考えることができる。

2)検査

(1)消化器疾患、一般外科疾患の診断に必要な検査(血液生化学、レントゲン、CT、造影など)の指示ができる。

(2)術前検査としての適切な計画が立てられる。

(3)食道、胃について透視、内視鏡の手技を理解・実施できる。

(4)各種内視鏡、透視の読影ができ、大腸透視ができる。

(5)腹部超音波検査を理解し、その読影ができる。

3)処置

(1)術前、術後の輸液の適切な計画が立てられる。

(2)絶食の必要性、経口摂取の開始時期を適切に支持できる。

(3)術創部の各種ドレナージ、胃ゾンデの意義を理解する。

(4)手術標本の整理ができ、その病的所見を述べることができる。

(5)簡単な救急処置(縫合、抜糸、導尿、心マッサージ、胸腔穿刺、腹腔穿刺)ができる。

(6)専門的な救急処置(イレウスチューブの挿入、胸腔ドレナージ、超音波下穿刺)ができる。

4)治療

(1)消化器官、その他一般外科疾患について、治療方針を立てることができる。

(2)各種病態、疾患についての手術適応を理解できる。

(3)手術に助手として適切に参加できる。

(4)周術期の病態を理解して、標準的手術の術前術後管理ができる。

 

(3)方略(LS)

LS1:On-the-jobtraining(OJT)

1)ローテート開始時には、指導医・上級医と面談し、自己紹介、研修目標の設定を行う。

2)指導医・上級医の指導のもと、外科に必要な基礎知識と技術を習得する。

3)指導医または上級医とともに入院患者を受け持ち、指導医または上級医の指示のもとで一般撮影、エコー、CT、MRI、消化管造影、内視鏡などの各種画像検査に付き添い、手技および読影法を学ぶ。

4)血管確保、創傷処置、経鼻胃管挿入留置などの手技を実践し習得する。

体腔ドレナージには助手として参加する。創部観察、創傷処置、ドレーン管理など毎日の回診の中で実践し習得する。

5)担当入院患者の問診および身体所見の把握、予定されている手術の適応や内容を理解する。

6)担当患者一人一人の状態、問題点などをカンファレンスで簡潔にプレゼンテーションする。

7)担当患者が手術を行う場合は、指導医と手術方針についてのディスカッションを行い、その結果を術前症例提示としてカンファレンスで簡潔に発表する。

8)定期手術に助手として参加し、清潔操作・止血法などの外科的基本手技を習得する。また。皮膚縫合などの小手術手技についても習得する。緊急手術に参加することもある。

9)手術中あるいは術後に指導医及び上級医から基本的手技についてのフィードバックを受ける。

10)CVカテーテル挿入、各種穿刺ドレナージ術、術後X線検査などを指導医または上級医の指導のもとに実施する。また、その手技についてフィードバックを受ける。

11)担当患者の術前・術後の全身管理について習熟する。

12)学会発表、論文の作成を指導医の指導のもとに行う。

 

LS2:勉強会・カンファレンス

1)消化器外科・内科合同カンファレンス(毎週火曜日・金曜日)

2)消化器外科術前患者についてのカンファレンス(毎週火曜日)

3)消化器外科入院患者についてのカンファレンス(毎週金曜日)

 

LS3:院外研修(学会参加等)

1)関連学会への参加、発表

2)各種研究会への参加

 

【週間スケジュール】

 

午前

午後

夕方(17:15〜)

病棟回診、手術

手術

 

手術

手術

外科・内科合同カンファレンス

術前患者についてのカンファレンス

病棟回診

手術

 

手術

手術

 

病棟回診、手術

手術

外科・内科合同カンファレンス

入院患者についてのカンファレンス

 ※指導医の指導のもと、外来診療を一緒に行う(週2回・午前中)

(4)評価(EV)

1)形成的評価(フィードバック)

(1)知識(想起、解釈、問題解決)については随時行う。

(2)態度・習慣、技能についても随時行う。

2)総括的評価

(1)研修医による自己評価

EPOC(臨床研修評価システム)による評価。

各診療科の研修終了時に研修医は研修評価書に自己評価を記入し医師支援室へ提出する。

(2)臨床研修指導医による評価

指導医は研修医の研修評価について指導医評価を行い、研修医の到達目標達成を援助する。

また、研修医より提出された症例レポートについて評価を行う。

研修終了後、「臨床研修指導医による研修医の態度評価」を記入し医師支援室へ提出する。

(3)臨床研修指導者による評価

当院独自の「臨床研修指導者による研修医の態度評価」を用いて研修医及び指導医の評価を行う。

(4)研修医による評価

 EPOCへ診療科全体(指導内容、研修環境)の評価を行う。