「リンパ浮腫」は、リンパ節を取り除く手術や放射線治療を受けたあとに起こる症状の一つです。その症状として腕や足がはれて日常生活が制限されることがあります。リンパ浮腫の悩みを抱えている方は多くいます。症状をうまくコントロールして悪化を防ぐことは生活の質を保つ上でとても大切です。
このページの情報を活用して、症状を軽減するとともにリンパ浮腫外来の受診をお勧めします。
専門のセラピストが対応しますので、リンパ浮腫について一緒に考えていきましょう。
リンパ浮腫とは、リンパ液の流れが悪くなり、細胞のすきま(細胞間隙)にタンパク質や水分が溜まった状態のことをいいます。手術や放射線治療などによって、リンパ液の流れが障害され、リンパ浮腫が起こりやすい状態になります。リンパ浮腫は、すべての患者さんに現れるというわけではありません。また、リンパ浮腫には個人差があり、手術後すぐにみられるものもありますが、何年も経過してから症状がでる場合もあります。
早い段階でリンパ浮腫を見つけて対応することが大切です。
はじめは自覚症状があまりなく、気づかないこともあります。手、脚を見て、触って、左右を比べて観察する習慣を付けましょう。
リンパ浮腫の症状に合わせて、スキンケア・リンパドレナージ・圧迫療法・圧迫しながらの運動を組み合わせた治療方法です。
浮腫のある皮膚は傷つきやすく、乾燥や感染を起こしやすくなっています。そのため、日頃からのスキンケアが大切です。
ノンアルコール、香りの少ない低刺激のもの、弱酸性がオススメです。
クリームを手に取って下から上へ円を描くように塗ります。まんべんなく塗ると同時に、リンパ液の流れを促すことができます。また、入浴後や寝る前に塗ると効果的です。弾性着衣の劣化を防ぐため、装着前の使用は避けましょう。
スポーツや旅行など、日常生活で不明な点はリンパ浮腫外来にご相談ください。
重要な合併症に、蜂窩織炎やリンパ管炎などの炎症があります。リンパ浮腫の手は、皮膚のバリア機能やリンパ節の機能が弱くなり感染を起こしやすくなります。
(注意)すぐに受診し、担当の医師に相談しましょう。ドレナージや圧迫療法は中止し、安静にしましょう。
全身のリンパ液は、リンパ節を通って身体の深いところにある太いリンパ管に集まります。リンパドレナージは、たまったリンパ液を正常に働いているリンパ節へ誘導する方法です。
リンパ液は、ドレナージだけだと重力によって元に戻ってしまいます。リンパ浮腫のある脚を外側から持続的に圧迫することで、リンパ液がたまるのを防ぐ効果があります。弾性包帯や弾性ストッキングなどの弾性着衣を用います。
弾性包帯や弾性着衣を付けて運動をすると、筋肉の伸び縮みがリンパ管にも作用し、リンパ液の流れがよりよくなります。
圧迫しながらの日常生活が一つの運動になります。そして、膝の曲げ伸ばしや足首を動かす運動を取り入れてみましょう。
感染による炎症が起こっている可能性があります。
リンパ浮腫は、早くに見つけて気長に治療を行うことが大切です。
やる気がでない、体調が悪いと感じるときはリンパ浮腫のケアを休んでもかまいません。休みたいこと、休んでいることは後ろめたいことではありません。また、不安や気になることで頭がいっぱいになり、ケアができなくなることもあります。
つらいときや自分で解決できないときにはリンパ浮腫外来にご相談下さい。
リンパ浮腫外来はがんセンター2階、受付の横から入り栄養相談室側の待合の正面、口腔ケア外来1の隣です。