【はじめに】
このたび、令和7年6月1日付で入江隆先生の後任として病院長を拝命いたしました久留一郎と申します。身に余る光栄とともに、その重責に身の引き締まる思いでございます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。当院は昭和23年に開設され、平成17年に現在の田和山へ移転してから、今年の8月で20年を迎えます。これまで入江前病院長をはじめ、歴代の病院長が築き上げてこられた病院機能をさらに発展させ、地域医療により一層貢献できるよう、誠心誠意取り組んで参ります。
【地域医療構想に則した医療提供体制の向上】
2025年にはいわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となり日本の高齢化が完成します。一方で健康寿命は男性71歳、女性75歳ですから全国的に医療や介護の需要が2050年にかけて急増し、その対応が急務です。第8次島根県保健医療計画に基づく地域医療構想を考えるうえで5疾病・5事業及び在宅医療のうち、構想区域を越えた連携を図る必要があるものとして、がん、周産期医療、救急医療(脳卒中・急性心筋梗塞を含む)があります。当院は松江医療圏の中核医療機関としてこれらの急性期・高度急性期医療を提供し、また地域がん診療連携拠点病院として「がんセンター」の開設、チームによる緩和ケア病棟の稼働、サイバーナイフをはじめ、手術支援ロボットやフィットネスルームの導入及びゲノム医療への取り組みなどの診療体制を整備発展させて参りましたが、今後も地域医療構想に則した医療提供体制を深化させて参ります。
【3つの病院機能の充実を通じて基本理念を実現】
「市民への奉仕を第一とし、市民から愛され、信頼される病院」という当院の基本理念を実現するためには、病院機能のさらなる充実が不可欠です。
第一に、患者さんの視点に立ち、安心・安全で質の高い医療を提供する「患者中心の医療」の実践に取り組んでまいります。
第二に、診療およびケアの質と安全を確保し、職種を超えたチーム医療の質を向上させることで、さらに良質な医療を目指します。
第三に、経営改善を含めた健全な病院運営体制を整え、持続可能な医療提供体制の確立に努めてまいります。
【満足度の向上と「ファンづくり」に向けて】
我が国では、世界に類を見ないスピードで高齢化が進んでいます。こうした中、当院の使命は、皆様が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを安心して続けていただけるよう、医療と地域社会をつなぐ存在として機能することにあります。そのために、病院機能のさらなる改善に職員一丸となって取り組むとともに、他の医療機関や福祉施設との連携を強化し、地域医療構想に則した松江市の医療提供体制の充実を図ってまいります。そして何より、満足度の向上を通じて、松江市立病院の「ファンづくり」を推進し、皆様にとって「ここに来てよかった」と感じていただける病院を目指して参ります。今後とも、変わらぬご理解とご支援、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
松江市病院事業管理者病院長久留一郎