医療関係者の皆様へ

1.以下のいずれかに該当する場合は「血液」での検査が可能です(FoundationOneⓇLiquidCDxがんゲノムプロファイル)

  • 医学的理由により、固形腫瘍の腫瘍細胞を検体とした検査を行うことが困難な場合。

 

2.「血液」での 検査 を実施している当院の具体例

腫瘍組織を採取することが困難であることと、血中循環腫瘍DNAが多いと判断される以下の症例

  1. 治療の効果がなく、腫瘍増大している症例
  2. 標準治療がなく、多発転移が認められる症例

 

3.血中循環腫瘍DNAを用いたがんゲノムプロファイリング検査の利点と注意点

 

利点

注意点

血液

  • 検体採取が容易であり、採取時点における腫瘍の遺伝子異常の情報を取得可能
  • 結果判明までの時間が短い
  • 腫瘍量が十分でない場合、検出されない可能性がある
  • 組織検体に比べると偽陰性が高いとされる
  • 加齢に伴いCHIPによる偽陽性の頻度が高まる
  • コピー数変化、および、遺伝子融合の評価が困難な場合がある

組織

  • 腫瘍細胞における遺伝子異常を直接評価可能
  • 検体採取に患者負担、合併症のリスクなどがある
  • 結果判明までに時間を要する
  • 腫瘍細胞割合が低い場合には偽陰性となる
  • 過去の検体は現時点の腫瘍細胞における遺伝子異常を反映していない可能性がある
  • 検体採取から3~5年以上経過している場合には検体が劣化する

日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会3学会合同ゲノム医療推進タスクフォース

「血中循環腫瘍DNAを用いたがんゲノムプロファイリング検査の適正使用に関する政策提言」(令和3年1月20日)より抜粋https://www.jsmo.or.jp/file/dl/newsj/2765.pdf2021.4.28閲覧

CHIP:ClonalHematopoiesisofIndeterminatePotential;クローン性造血

 

 

4.コンパニオン診断薬としての使用上の注意点(FoundationOneⓇLiquidCDxがんゲノムプロファイル添付文書より一部抜粋)

 

  • 本品を下表に示した対応する治療薬の適応を判定するための補助として用いる場合には、組織検体を用いた検査と完全に置き換わる検査ではないことを理解した上で使用すること。
  • 本品を下表に示した対応する治療薬の適応を判定するための補助として用いる場合には、「同等性試験」の有無、及びその内容を踏まえて使用すること(例えば、EGFR遺伝子T790M変異について同等性試験は実施していない)。なお、本品によるコンパニオン診断の結果が陰性の場合は、可能な限り組織を用いた検査等の実施を考慮すること。
  • 本品の最小検出感度未満の場合は、遺伝子変異等が存在する場合でも陽性と報告されないことがある。

下表に示した対応する治療薬を除き本品で得られた結果は特定の医薬品に対する適応判定を目的としたものではない。

 

遺伝子変異等

がん種

関連する医薬品

活性型EGFR遺伝子変異

非小細胞肺癌

アファチニブマレイン酸塩、

エルロチニブ塩酸塩、

ゲフィチニブ、

オシメルチニブメシル酸塩

EGFRエクソン20

T790M変異

 

オシメルチニブメシル酸塩

ALK融合遺伝子

 

アレクチニブ塩酸塩、

クリゾチニブ、セリチニブ

ROS1融合遺伝子

 

エヌトレクチニブ

NTRK1/2/3融合遺伝子

固形癌

エヌトレクチニブ

BRCA1/2遺伝子変異

前立腺癌

オラパリブ